2/5(Tue)
携帯を彼に返した。
この日私はお昼はお休みで、
いい加減美容室に行こうと思っていた。
インフルエンザなどで髪の毛が伸び放題。
結局カラーだけで3cmほどしか切ってはいないけど、
腰まである。
外で食事をとろうか?っていう話だったから、
美容室が終わっていつものように迎えに来てくれた。
*
携帯を返すと安心したようで、
でも彼が会っている時間に携帯を触るところは
あまり見てこなかっただけに少し寂しかった。
*
よく行くミナミのお店があって、そこは本当に暗い店内で
薄い黒いカーテンで他席とは完全に区切られている。
テーブルの上に蝋燭があるだけ。
その日はビールたった1杯でもう酔いが回り始めて
”寝不足か?”と言われた。
全然そんなことはなかったけど、体の調子は今ひとつ。
どんどん酔いが回ってしまった。
その分、ずっと蓋をしてきた気持ちを少しだけ話してしまった・・・と思う。
”
お前は彼氏がいてもずっと俺と浮気してたわけやろ?”と言うから
”
結局あなたのことを切るほどじゃなかったからかな”と答えた。
彼も今まで言ったことなんてない、
”
お前のこともちゃんとせなあかんと思ってる”なんて言っていた。
別にそういう話の流れじゃないところでいきなり言い出すから
どういう意図でどういう意味で言ったのか、と今となっては思う。
それから、なぜかいつもあれほど酔うと
必ずホテルでは少し眠れるのに、眠れず
シャワーを浴びて、カバンに入っていた本を読んだり
携帯でメールしたりしていた。
彼は眠っているようで半分くらい意識はあったのか、
私がベッドに戻ると話しかけてきた。
いつも会うたびに自分たちの理性が利きにくい部分の
本性を晒すのが強くなっていると思う。
それはアルコールの力もあるけど。
そして帰り。
車で送ってもらっているとき、突然
”
今度白髪抜いて(笑)
1本あるって言われてショックやってん。
おまえんち行くから”
”
どういう話やねん(笑)今抜いてあげるやん。”
”
いや、毛抜きがいいから!おまえんちあるやろ。
今度でいいから!”
とかいまいち訳がかわらないことを言っていた。
言い回しが下手くそだな・・・って少し可笑しかった。
彼は本当にいつもそうだ。
この辺だけが不器用すぎる。
彼は家に来たいと思ったんだな、その時は。
だから結局実現しなくてもその気持ちだけで嬉しかった。
他人がそう思ってくれる一瞬の気持ちを大切にしたくて。
それもあってそう言った彼の言葉を
心のどこかで待ってしまうとかいうことはない。
また、そんな自分になってしまうと苦しいし
もうそこは昔乗り越えていて
そういう風にはならないようになっている。
*
そしてこの頃。
ある本を読んでいて、アンリルソーとピカソの話が出てきた。
原田マハの『楽園のカンヴァス』
まだ読了はしていないけれど。
美術は中学時代からは相当苦手だったが、
幼稚園の卒業文集みたいなものには
将来の夢:えをかくひと
と書いたことだけ覚えている。
インターネットで何でも調べられる時代なので
何気ない気持ちでピカソの青の時代の絵を検索した。
『海辺の母子像』1903年がやたら目に留まって、写真印刷した。
それを写真立てに入れて部屋に置いてみると
何ともいえない気持ちになった。
絵なんて何もわからない。
でもただ印刷して飾っただけなのに・・・
部屋にあるぬいぐるみやCDやDVD、しょうもないファッション雑誌、
こんな物、全部捨ててやろうと思った。
他の物も然り。最低限以外が邪魔である。
そして海外に目を向けたこともなく
旅行も一切好きではない私が1度フランスへ行ってみたいと思った。
*
私はこうやって少しずつ変わっていくんだろうか。
”俺とお前はどうなっていくんやろうな”と彼が言っていた言葉が頭によぎる。